日清製粉創業以来磨き続けた粉体技術で、
世界トップクラスの微粒子技術を提供します
ある時には気体のようにふわふわ舞い、またある時は液体のように止め処なく流れ、そしてある条件下では固体のように動かなくなってしまう『粉体』。多様な振る舞いを見せ、取扱いがとても難しいため、『粉は魔物』と言われます。
当社は日清製粉グループの一員として、長年そのハンドリングが難しい粉を取り扱い、さまざまな粉体プラントの実績を積み重ね「貯槽」「輸送」「粉砕」「分級」「供給」「計量」「充填」など、粉体技術に関わる経験とノウハウを蓄積し、「ナノ粒子加工」などの新たな技術へと展開してきました。
ここでは、サブミクロン領域での工業規模の処理を世界で初めて可能にした「分級」技術を通して、当社の粉体技術をご紹介します。事例として、ナノ領域の分級を実現したエアロファインクラシファイア(AC)をご紹介します。
当社の分級技術
分級とは、粉体(細かい粒の集まりとなっている状態)をその大きさによって複数のグールプの粒子群に分けることを言います。粒の大きさを揃えることによって粉体の性質が安定するため、原材料として粉体を使用する際は粒度を揃えることが有効な場合が多くあります。主な用途として、積層セラミックコンデンサ、プリント基板等の電子材料を中心に、2次電池や太陽電池の材料、磁性材、光学材料などの様々な分野で使用されています。
当社の分級技術の歴史は、小麦粉の分級に始まります。通常の扱いは比較的簡単な小麦粉ですが、細かい領域では付着性がかなり高いため、当時、十分な精度で分級できる装置が市販されていませんでした。そこで、製粉工場での利用を目的に分級装置を開発し、粉体ハンドリング技術を含めた分級の高性能化のノウハウを蓄積してきました。
現在、サブミクロンから数百ミクロンまでの幅広い領域をカバーする3機種をラインナップし、多くのお客様にご利用いただいています。
ラインナップ
エアロファインクラシファイア(AC)
概要
エアロファインクラシファイア(AC)は、高精度分級をシングルミクロン以下の領域で実現する装置です。機内に分級ローター等の回転体を設けず、固定羽根により旋回流(自由渦)を発生させ粒子に遠心力を与えています。同時に遠心力と反する向きに働く空気抗力を粒子に与えます。これら二つの力(遠心力と空気抗力)のバランスによって分級点を設定し、粗粒子と微粒子に分級します。自由渦は分級羽根の回転で発生させる強制渦に比べてより高速な渦を作りやすく、より大きな遠心力を粒子に与えることが可能です。
制御が難しかった自由渦を当社独自の技術を用いてコントロールすることで、従来達成できなかった領域の分級が可能となりました。
特徴
分級点の調整が容易
固定羽根の角度並びにメイン空気と2次空気の風量割合を変えることで、分級点の調整が可能です。このとき、メイン空気と2次空気のトータル風量は一定であるため、分級精度は維持されます。
原料の強力分散作用
分級ゾーン上部の2次空気が、原料粉体の分散を促進し、単一の粒子に近い状態で分級場に送り込むことができます。
再分級作用による微粉再回収
分級ゾーン下部の2次空気が、再分級を促進します。特に3μm以下の微粉回収率の向上に効果的です。
エアロファインクラシファイア(AC)は以下の用途に最適です。
- 軽比重な細かな粉体の特に5μm以下の分級
- サブミクロン領域における粗大粒子(1μm以上)の除去
- 非球形粒子、鱗片状粉体の分級
- 金属コンタミの少ない分級
- 原料の色彩変化の少ない分級
- 分解洗浄性が要求される食品・医薬品の分級
構造
独自のツインエアー方式により
高精度分級を実現
本装置はブロアの吸引によって大気中から空気を取り込み、装置外周部に設置した複数の傾斜羽根の間に空気を通すことで、機内に旋回流を発生させます。また、2次空気として圧縮空気を噴射することで高速な渦流を形成しています。
回転体なし
固定羽根のみのシンプルな構造
本装置は、機器内部に可動部が全くありません。分解・洗浄性に優れ、付着性粉体、摩耗性粉体の対応も容易にできます。
分級例
積層セラミックスコンデンサの誘電体層を形成するチタン酸バリウムでは、サブミクロン粒子中に微量に含まれる1μm以上の粗大粒子の存在が問題となります。このようなサブミクロン粒子を分級する際には、分級点がその領域まで到達しないことや、凝集や付着が生じることが大きな問題でしたが、エアロファインクラシファイア(AC)は強力な渦流を形成することで、これらの問題をクリアし、1μm以下のトップサイズの分級を実現しました。
世界最小分級径への挑戦
現在、ナノサイズの超微粉体への分級適応に取り組んでいます。
従来のエアロファインクラシファイア(AC)の特徴である高精度分級、回転体のないシンプルな構造はそのままに、従来よりもさらに高速な旋回流を発生させること、従来の微粒子領域から中粉を抽出することで、乾式では不可能であったナノ領域での分級を実現しております。今後も、世界最小分級径へ挑戦を続けます。
実施工例
シリコン(BET径:92nm)
原料
BET径:75nm
微粉
ニッケル(BET径:90nm)
原料
BET径:40nm
微粉
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