粉砕とは?

ある大きさの固体材料に何らかのエネルギーを加えて、元の大きさよりも小さくする操作のことを粉砕と言います。
工業的には、粉砕された材料の大きさ(粉砕粒度)によって、粗砕、中砕、微粉砕、超微粉砕というような分類がされています。大まかな目安としては諸説ありますが、粗砕は1mm程度まで、中砕は1mm程度から数十μm程度まで、微粉砕は数十μm程度から10μm程度まで、超微粉砕は10μm程度以下ということができます。
試合などで相手を徹底的に打ち破ることも「粉砕する」と言いますが、これは粉砕という言葉が持つ別の意味ですね。
粉砕と似た言葉で解砕というものがありますが、これは元々細かい粒子が集まって一塊になっているものをほぐして細かくする操作のことです。粉砕する機械が解砕の目的で使われることが多くあります。

図1 【粉砕粒度】

【粉砕粒度】

粉砕の目的

粉砕によって固体材料の大きさが小さくなると、その固体の表面積が大きくなり工業プロセスでの効率を高めることができます。
一辺が1cmの角砂糖の表面積は6cm²ですが、一辺が1mm(0.1cm)の角砂糖を並べて一辺が1cmの角砂糖の大きさと同じにすると、1000個が並び、表面積の合計は60cm²になります(注)。角砂糖をコーヒーに入れた時、1cmのもの1個よりも1mmのもの1000個の方が早く溶けますよね。

(注)単位体積或いは単位質量当たりの粒子の総表面積を比表面積と言います。
   単位は[cm²/cm³]、[m²/g]などが使われます。

図2-1 【粉砕目的の例1】

【粉砕目的の例1】

粉砕の別の目的として、いくつかの成分を含んだ塊では、それを小さくすることによって必要な成分を選択的に取り出すことができます。

また、いくつかの材料を混ぜる時には、大きな塊を混ぜるよりも一粒の大きさを小さくして混ぜる方が均一になります。

図2-2 【粉砕目的の例2】

【粉砕目的の例2】

粉砕の原理

粉砕には微粉の出来かたが2つあると考えられています。1つは、固体材料に力が加えられても全体的な破壊が起こらず、表面が削られて小さな粒子が発生する表面粉砕です。もう1つは、表面は関係せず、固体が大きく割れて段々に小さくなっていく体積粉砕です。現実的には表面粉砕と体積粉砕の組み合わせで粉砕が進行すると考えられます。
一般に固体材料には初めから内部に欠陥やマイクロクラックがあって、力が加えられた時にそのうちのいくつかが引金となり、材料の破壊が進むことになります。ある欠陥やクラックが活性化して破壊に達するかは確率的な事柄であると言えます。

図3 【粉砕の原理】

【粉砕の原理】

粉砕機の例

微粉砕機は同時に中砕機であったり、超微粉砕機であったりします。世の中には多くの微粉砕機がありますが、粉砕機構で分類すると、円板式、ローラー式、シリンダー式、衝撃式、ジェット式、高速回転式などが微粉砕機に該当します。代表的なところでは、ボールミル、ジェットミルなどが良く耳にする名称です。それぞれの機構で各社特徴を持った装置が出されており、まさしく多種多様であると言えます。
日清エンジニアリングではジェットミルとしてスーパージェットミル、カレントジェット、また高速回転式としてブレードミル、スーパーローターをご提供しています。

粉砕機の例1
粉砕機の例2 粉砕機の例3

効率的な粉砕

固体材料にエネルギーが加えられて発生した微粉は、一般的に粒度分布の幅が広いと言えます。時間とともに粒度は細かくなっていきますが、目的とする粒度に達した粒子をいち早く機外へ取り出すことが粉砕効率を高める良い方法です。そのためには、粉砕機自体に優れた分級機構を持たせるか、別置きの分級機と組み合わせて閉回路粉砕を行うことが推奨されます。何れの場合も細かくなった粒子だけを取り出し、粗いものは分級によって装置内(系内)に滞留させて粉砕をするということです。

図5 【粉砕フロー】

【粉砕フロー】

また、粉砕助剤を用いることによって粉砕効率を高められることが一般的に知られています。何を粉砕するかによって異なりますが、助剤として0.1%程度のジエチレングリコールやアルコールなどが使われます。粉砕材料表面への助剤分子の吸着によって材料の表面エネルギーが減少して材料強度が低下するために、粉砕が進みやすくなるとされています。また、吸着による粒子相互の凝集力低下が粉砕された微粉の分散を促し、二次的に粉砕効率が良くなると考えられています。

粉砕機の摩耗対策

摩耗性のある材料を粉砕する時は、しばしば機械の摩耗が問題になります。
材料が装置と衝突する箇所では、程度の差はあれ装置側が摩耗で削られていき、粉砕性能に影響が出るようになります。摩耗箇所を放置しておくと、やがて穴が開いてしまうことにもなります。回転体の場合には、不釣合いが大きくなり振動が顕著になってきます。
このようなことを防ぐために、摩耗が心配される箇所には適切な耐摩耗対策を施しておくことが必要です。粉砕材料の性質と対策箇所に応じて、セラミックス化をしたり、超硬金属を使ったりします。
また、装置の設計上、摩耗しやすい箇所は容易に交換できるようにしておくことも重要な事柄の1つです。

弱熱性材料の粉砕

ジェットミルは装置自体での発熱が無く、内部で発生した熱も十分な量の空気によって系外へ取り出されるので、弱熱性の材料に対して有効です。
ジェットミルの粉砕粒度、或いはジェット式そのものが目的に合わない場合もあります。
高速回転式では機械本体のジャケットに冷却水を循環させることによって、発生した熱を機外へ取り出します。ジャケットでの冷却だけでは不十分な場合には、回転体の中にも冷却水を流すことが可能です。またクーリングタワーによる冷却水ではなく、場合によっては休転時に結露しないように注意して0℃以下のブラインを循環させることが効果的です。
さらに、吸引式の場合には、吸い込まれる空気の温度を予め下げておき、粉砕による温度上昇があったとしても、製品に悪影響を及ぼさないようにすることも有効な方法です。

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